夜の宮島

子供といると、ふとした拍子にずっと記憶の片隅にしまい込んでいた自分の幼い頃を思い出す。この春は、4,5歳の頃、祖父が連れて行ってくれた夜の宮島の風景が無性に頭について、GWの始まりと共に家族三人で行ってきた。

潮が満ちると海に浮かぶ朱の大鳥居と神社。特に夜の満潮時には漆黒の海の上に朱塗りの神社が浮かび上がり、幻想的な風景が広がる。潮の匂い、朱の社、月明かり。幼心に、この光景はただただ衝撃的で、そして、大人だったら、「幽玄」とでも表現して愛でるような、あの神秘的な雰囲気を少し怖いと感じたのを思い出した。大人になったら「怖い」は「素敵」に変わっていた。どっちがまともな感受性かはわかりません(笑)海の上に社をつくろうなんて、なんと自由でハイセンスな発想力だろうか等と、余計な事を考えるからだろうか。

それにしても、厳島神社を愛でるなら断然、満潮時。特に人のいなくなった夜の満潮の頃をそぞろ歩くのが良い。タイムスリップしちゃいますよ。