早とちり

8月からインターナショナルでもなく、日系でもなく、現地幼稚園に通っている次女。
もちろん11ヶ月さんには言語の壁も無く、その幼稚園自体、びっくりするぐらい丁寧なケアをしてくれる為、何の支障もなく通っています。長女の分を含めると、これまで4つの幼稚園を経験していますが、その中でもかなり満足度・安心感の高い幼稚園です。

そんな環境なので、娘も大抵、迎えに行った際に一日の様子を尋ねると「とっても良い子でした!」と言われるのが常でした。基本、ぐずりの少ない、扱い易い、通称「奇跡の赤ちゃん」ですから(笑)

しかし今日は、生まれて初めて咳を伴う風邪を引いてしまい、ちょっと朝から不機嫌でした。案の定、迎えに行くと先生は、「大変だった」という表情で、娘が珍しく、色々手のかかる様子だったことを教えてくれました。お外遊びの際はウインドプレーカーの上・下を着たくないと大騒ぎしたらしいです。(実は、私はそんな風に拒否されて大騒ぎされたことがないので、ちょっと想像がつきません。。。。見てみたい気もします。)

そして、最後に「Sie war blöd」と言われました。
Blödとは「Stupid(バカ)」の意ですが、殆ど聞いた事が無い、私にとっては馴染みの無い言葉です。「バカ!」という罵りの言葉では「Dummkopf!」というのは悪童達がよく使っていますが。。。。。

一体、1歳にも満たない娘に「Sie war blöd (彼女はバカだった)」とは何事かと思いつつも、Blödの意味のニュアンスを理解していないので、私の誤解かもしれないとも思いつつ帰宅しました。その場で確かめれば良かったのですが、丁度、話した先生は他の子に手が掛かって忙しそうな時であり、そんな時は取り付く島のないタイプの人なので、長話もできなったのです。

しかしやはり気になります。家に帰って辞書を引いてみたら・・・・意味はバッチリ「バカ」であり、それ以上でも以下でもないではありませんか。また、前回、blödという言葉を聞いたのはいつだったのかを思い出してみました。長女の口からです。娘が3歳になる前、幼稚園から帰る道すがら、「Max ist blöd」と口走ったのです。当時は「幼稚園でみんなが言ってた」の一点張り。その背景も意味するところも教えてくれませんでしたが、今日、幼稚園から帰った娘に聞くと「バカっていう意味だよ。Dummkopf! イヒヒヒヒー」と悪い言葉に異様に反応する4歳児らしい回答をしてくれました。

なんと、やはりバカの意だったようです。「これはやはりドイツ人ばかりの幼稚園ゆえの、アジア人蔑視的発言に違いない。明日は上司交えて苦情を言わなくちゃ!」と怒りがムラムラ。。。。。しかし、やはり、 私の理解に一抹の不安が残り、ドイツ人の友人にメールで聞いてみました。

優しい友人は「気持ちは分かるよ。でもきっと勘違いだよ。blödはバカって言う意味だけど、「お前はBlödだ」なんて、大人は喧嘩の時しか言わないから。きっと、Sie war blöd XXX」のXXX部分を聞き落としたのではないかな。その場合、blödは「不運にも」「ひどいことに」とか、動詞を修飾する言葉になるから」と回答してくれました。ドイツ語では形容詞が同じ形で副詞として動詞を修飾します。なんとBlödも副詞になると、元の意味から離れて強調語に変わるとは・・・・・「辞書に載せといてよ!!!!!」

さすがにSie war blödは、私の勘違いだったのでしょう。もう少しで、抗議&苦情を述べるところでした。友人に感謝です。

それにしても、こんな風にすぐに「日本人だから侮辱された!」と受け取る自分は、ドイツ生活をエンジョイしながらも、いつでもどこか、行きずりの人や信頼関係を気付く前の相手には「アジア人だから差別されるのではないか」と心の隅で神経を尖らせているんだなと感じます。これは結構、ドイツ在住の日本人にはありがちなメンタリティだと思いますが、この度はまんまと、この「被害妄想」の落とし穴にハマってしまいました。

「不当な人種差別には負けないわー。断固として抗議するんだから!」と実は、常々思っている私ですが、このインターナショナルなデュッセルドルフという地で、世話になりこそすれ、一体、面と向かって、どんなに卑劣なアジア人蔑視や侮辱を経験したかと言うと・・・殆ど無かったりする訳で(汗)

ああ恥ずかしいったらありゃしない。