こちらに来て3ヶ月が過ぎようとしている。

「どこで切って、果断に判断して、決然と実行するか、どう有効資源を優先順位をつけて、やらねばならないタスクと国ごとのコンプレキシティに立ち向かうか、常に考えて自分の行動を制御しなさい。」とは、こちらに来て暫くたった頃、My Big Bossが私に向けた言葉。

「わ〜い、欧州24カ国だ〜」とのん気に、こちらにやって来た私を待っていたのは、引っ切り無しに送られてくる市場や本社からメールと電話だった。
こなしても、こなしても湧いて出てくるリクエストと問い合わせに途方に暮れて3ヶ月。直属の上司からは欧州流「残業するな」のプレッシャー。目の前のことに追われて、こちらでやり遂げようと思い描いた戦略的なことに時間が取れない焦り。。。。。

そして、ここに来て、ようやく分かったことがある。
明確に(時には過度なくらい)優先順位付けをして、しかも、それを周りが理解できるように示していけないと、こちらではやって行けない。
上司とは優先順位付けの裏にある考え方を共有していなくてはならないし、それに裏打ちされた主張でなければ、いくら明らかに毎日長時間働かざるを得ない状況で、業務量の全体像を示して、窮状を訴えようとも、追加の人員要求を認めてはくれない。
おまけに幾ら仕事をこなしても、マネージャーとしての能力を評価はしてくれないのだ。
簡単な説明で、勝手に見て汲んで悟ってくれる、例の「あ・うん」の関係はありえない。

正直、「私だって10年目のプレーヤーなんだから、優先順位付けくらい出来るにきまってるじゃないの」と当初は生意気にも思っていた。でも、こちらで違ったフィルターで見返してみると、私の今までの優先順位付けは、いわゆる日本的な義理人情入りで、全体調和を重んじる八方美人的な「和風」優先順位付けだったことに気付かされる。
ここでは、それを優先順位付けとは言わない。時には冷たい客観性でバッサリ切って、そして、優先順位付け出来ることを周りにアピールして行かないとならないのだ。これは、とても興味深い発見だった。

と、言うことで、現在、「優先順位付けの100本ノック」実施中。義理人情の和風優先順位付けも、個人的には嫌いじゃないので、どう融合させるか、今後、模索行きたいですね(笑)

それにしても、こういう考え方は、24カ国と向き合う、私の現在の勤務先の特性なのかと思いがちだけれど、欧州流のビジネススタイルとも言えるのかも知れない。あれこれ全部やって、すべて細やかにフォローするから日本の生活はとても便利。でも、全てに全力投球してしまうから、個人の生活にツケが回ってきて、余裕が無い。一方、こちらの生活は(特にドイツは)、日本ほどの便利さは無い。お店は7時には閉まるし、日曜は完全に休み。細やかなサービスは期待できない。でも個人の生活の余裕があるので、その意味での豊かさを実感する場面は多い。

バッサリ割り切って優先順位付けしていくからかもしれない。