カーニバル!カーニバル!

Erike2009-02-25

「普通の妊婦」に戻る前に、デュッセルドルフで毎年恒例のカーニバルに参加してきた。

カーニバルとはドイツではデュッセルドルフ、ケルン、マインツあたりで恒例のお祭りで、老いも若きも仮装してパーティーをしたり、山車を出したりしながら数日間に渡り、大騒ぎする。私たち夫婦は、マブダチSilke経由で彼女の仲間の一人が所有する事務所を占拠してのパーティーにお招き頂いた。この事務所からだとパレードが近くから見下ろせる。普段は弁護士事務所として使っている場所に、持ち寄った食べ物や樽入りビールが溢れ、仮装した人々で賑わう。カーニバルでの仮装というのは非常に重要な要素らしく、職場の友人たちも早い人は半年くらい前から構想を練って、材料を買って手作りしたりしている。それに比べると、気合いの面では劣るが、夫はお猿さん。私は妊婦体型を利用して、カエルさんの着ぐるみで参加した。メキシカンハットとポンチョで仮装した人が普段は保険会社の社員だったり、サイケな70年代ファッションの人が弁護士さんだったり、不思議な感じ。



お昼前から集合し、飲んだり、食べたり、輪になって踊ったりしながらパレードを待つ。パレードがやってくる頃には、みんなすっかり良い気分。出来あがった大人たちの間を子どもたちが仮装した小さなライオンやゾウさんなどが走り回って、とても可愛い。カーニバルで子どもたちが楽しみなのは仮装だけではない。パレードの山車から撒かれるお菓子も重要な要素。沿道に出て、パレードにデュッセルドルフのカーニバル特有の挨拶である「Helau!(ヘラオー)」と声を掛けながら、「Kamelle!(カメレー!)※お菓子を(頂戴)!」と叫ぶ。すると出しから豪快にお菓子が降ってくる。大きな袋を手に持った子供たち(いや、実際は大人もかなり活躍している)が、一斉に拾い集める。


この日のパレードは7Kmにも及んだ。デュッセルドルフにある各団体がいろんなテーマで山車を出すのだけれど、政治を皮肉ったものが意外に多くてドイツらしいなと思う。プーチンと銃の山車やメルケル首相のとんでもないデフォルメ山車などが目を引いた。一つ一つ丁寧に説明してくれる友達の横で、世代を超えてみんなで参加して楽しめるお祭りがあるのって良いことだなと思った。きっと、ここのカーニバルの基本構造はほとんど変化せずに今日まできているのだろう。だから世代を超えられる。車の好みもそうだけれど、常に新しいものや変化を求める日本とは、少し時間の流れが違うなと、暮らしてみてつくづく思った。


そう言えば、このSilke経由で知り合ったドイツ人コミュニティーとも、もう当分会えなくなる。初夏の土曜の遅い朝、市場でたむろって、早い時間からビールで乾杯したのが始まりだったなと思いだした。「僕たちにとってはビールは飲むパンなんだよ」という発言が衝撃だったのを覚えている。デュッセルドルフは人口の1パーセントが日本人で占められる都市だ。日本人コミュニティーの中だけで暮らそうと思えば、とても簡単に、それが実現できてしまう不思議な場所なのだけれど、こんな風にすんなり仲間に入れてくれ、いろんな世界を見せてくれたことに心から感謝したい。


さて、カーニバルも終わった。日も随分と長くなり、気がつけば、鳥の鳴き声も騒々しくなってきた。長くて陰鬱なドイツの冬も、そろそろ終わりに近づき、待ちに待った春がやってくる。