八方美人は忙しいらしい

娘も10ヶ月を過ぎ、かなり人間に近付いてきた。
去り際に「バイバイ」をしたり、ぬいぐるみの頭を撫でて(と言うより、殴打して)「よしよし」をしたり、、、、。離乳食も一日三食になって久しいので、あの現役乳児特有の甘〜いかおりもしなくなってしまった。(ちなみにうちの娘の頭は、もみじまんじゅうの匂いがしていた。外側のスポンジの甘い匂い。)


さて、当人のマイ・ブームは目下、「八方美人スマイル」である。道端であろうと、デパートであろうと、時には温泉入浴中であろうと、若いお姉さんだろうと、おじさんだろうと、散歩中の犬だろうと、狙った相手に、ニュッと首を突き出し、二カーっと笑いかける。「ニコっ」と言う慎ましやかな笑みではない、体は前のめり、破顔一笑の「二カーー」。世知辛い世の中とは言うけれど、10ヶ月の赤ちゃんに身を乗り出されて笑顔を送られては、無視する人はいない。大抵、みんな、「わーーっ、笑った!」とか「キャー!」とか叫んで、ニッコリしてくださる。ありがたいことだ。「まぁ良い子だねぇ」と、頭など撫でられた日には当人、大変ご満悦の様子である。毎日、毎日、来る日も来る日も繰り返される笑顔攻撃に、連れて歩く親のほうは慣れて来て、ベビーカーを押しながら、背中や頭の動きで、次は誰に狙いを定めているか、分かるようになってきた。(子連れ狼を彷彿とさせるような・・・)


そんな状態なので、人通りの多い場所をベビー・カーで歩く時など、家の中ではベタベタくっついて離れないのに、娘は母親である私に一瞥もくれない。忙しいらしい。唯一、喉が渇いたときだけ、私を見上げて、二カーっと笑いながら、手を握ったり開いたりして、グーとパーを繰り返す、ベビー・サインを送って来る。「オッパイください」の合図なのだ。遊びの後の一杯と言ったところなのだろうか。



ちなみに、友達から便利だよと聞いて、半信半疑で試してみた、このベビー・サイン。赤ちゃんとの手話みたいなもので、言葉が話せるようになる前から、ちょっとしたコミュニケーションが取れるというもの。私は本屋で立ち読みして、我流で少し試してみたのですが、本当に通じ合えるのでビックリ&お勧めです♪


娘:(サインで)「お母さん、オッパイ」
私:(サインと声で)「先にオムツを替えようね」
娘:(サインと泣き声で)「いやだーオッパイーがいい!」


という感じの会話が成り立ちます(笑)