注射天国

現在、我が家の冷蔵庫の一番出し入れの邪魔になる中央部分に、この封筒が入れてあります。「一番出し入れの邪魔になる所が、きっちり冷えて良いから、必ずそこに置くように」との言いつけを守ってのことですが、かなり邪魔です。

中身は娘の予防接種用ワクチン。「麻疹・風疹・おたふく風邪」の三種類ミックス!こちらでは、予防接種を受けるには、まず①掛かりつけのお医者さんに処方箋を貰って、②それを元に薬屋さんでワクチンを購入し、③ワクチン持参で接種してもらう、、という3ステップを踏まねばならず、あーーー面倒!しかも、ワクチン購入後から接種までの品質管理までしなくてはならないのです。

ただ、プロセスは面倒ですが、色々混ぜて一度に接種しちゃう傾向があるので、同じ種類で比べたら、日本より効率的に接種は進みます。日本では混ぜても三種混合くらいのものですが、こちらは六種混合(ジフテリア破傷風、百日咳、ポリオ、ヒブ、B型肝炎)さえもあります。
更に、予防医学重視傾向のドイツでは、B型肝炎などは、日本人に多くて、ドイツ人には少ない病気らしいのですが、これも公的補助の対象で、生後一年以内に皆接種するそうです。日本で問題になっているヒブや肺炎球菌ワクチンも、こちらでは普通に保険適用されるワクチンであり、供給にも問題はありません。他にも日本では普通は打たないワクチンも色々あり、まさに接種される立場の子供には災難の注射天国です。

ちなみに、私は日本にいた頃、ヒブ・ワクチン接種を行う小児科をすんなり見つけられなかった口なので、これだけバッチリ接種体制が整っている環境にほくそ笑んでいます(娘よ、すまない)。

日本にいた時のヒブの接種経緯なんて、酷いものでした。当初、掛かりつけにしようと思っていた小児科では、「希望者が殺到するので取り扱いません」と「???」なことを言われ、「待たずにヒブの接種できる」を宣伝文句にしている小児科には、「電話で予約は受け付けないし、最速で入手できても半年待ちで、半年待っても確実に入手できる確証は無い」と言われました。「長年のキャリアに基づくネットワークと少ない患者数を考えると、もしや・・・」と、思って、自分が幼いころ見てもらっていたお爺さん先生のところに電話したところ、「三週間待って貰うことになるんじゃが、それで良ければあるよ」との回答を得て、ようやく接種してもらえたのでした。こんな風に、同じ小児科でも対応はバラバラ。他の先進国では、殆どの国で、もう何十年も前から公的補助の対象となっているワクチンが、自費の上に供給も、この調子で、何やってるんでしょうこの国の医療は、、、と感じたのを覚えています。

親子二代で見てもらっていたお爺さん先生は、渡独前に、「国は動くの遅いから、自治体助成として県で負担してもらえるように医師会で働きかけてるんだ。あともう少し。」とお話して下さったのですが、あれからどうなったかな。細菌性髄膜炎の主要な原因になるヒブと肺炎球菌のワクチンをセットで必要回数接種すると、合計八万円になるケースもあると新聞で見たことがあります。家計には結構な負担ですよね。どの子供も押し並べて受けられる環境になるように早く状況が整うといいな。