食い力(くいぢから)

生まれた時3640グラムあった娘はチビ母な私には身に余るビッグ・ベビーでした。昨今の日本の産婦人科医は妊娠中毒症や産むときのリスクを回避すべく、体重管理は厳しく行われ、小さく産ませる傾向にあるので(ちなみにドイツでは違う)、新生児室にずらりと並んだ3000グラム以下の赤ちゃん達の中で、我が娘は一際大きく見えたものでした。もちろん、食欲も旺盛で、母乳の出にくい最初の数日はミルクで補うのですが、そのミルクの量も通常一番最初は20ccから40cc程度であるところを、いきなり80cc程飲み干し、看護婦さんを驚愕させていました。

あれから2年半が過ぎようとしています。娘の健啖家ぶりは相変わらずです。

さっちゃんはね、バナナが大好きホントだよ。だけどちっちゃいから、半分しか食べられないの・・・・・

なんて童謡がありますが、あれはうちの娘では考えられない話です。生まれてこの方、剥いたバナナを一本丸ごと食べなかったことなどありません。一歳半を過ぎるころには一本どころか、立て続けに二本食べてましたから。。。

そして幼児食期に入り、幼稚園に通い始め、最初の数日で覚えたドイツ語は「Noch mehr!(もっと)」です。この幼稚園では朝ご飯にお弁当を持たせて、お昼は給食、お昼寝の後はおやつが出ますが、給食もおやつも、おかわり自由なのです。Noch mehrは彼女にとって必須の言葉だったのです。

最初の一ヶ月目が過ぎようとしていたある日、担任の先生から「はるかちゃん、今日はお昼ご飯、4杯もおかわりしたんですよ〜、さすがに5杯目はやめさせました。」と笑いながら言われました。4杯!!新米母のこと、どれくらいの量が適正なのか分からないのでどうすべきか相談したところ、「幼稚園では走り回ってるし、一杯の量は多くないし、肥満体形な訳でもないので様子を見ましょう」とのことでした。

そして最近、娘の体重は徐々に成長曲線の平均の最大値あたりをうろうろし始めました。これはやはりお昼ご飯の量を調整する必要があるのかなぁと思い始めた時、同じ幼稚園の年上のお兄ちゃんのママから、お昼は健康上、おかわり二杯までにしていると聞きました。もう年上のお兄ちゃんで2杯なら、うちも2杯までにするしかないと心に決めた午後、幼稚園に迎えに行くと、先生から「いつもはおかわり2杯までと決めてるんですけど、今日は他の子の面倒を見ているすきに、はるかちゃんが3杯目を自分で注いじゃいました!」と報告されました。

既に幼稚園では2杯までにしてくれておりました。後手後手のダメ母ですね。。。しかも「おかわりする」という行為自体を楽しんでいる風なので食べ過ぎないように、最初の一杯を少なめに注いで下さっているそうです。何と言う細やかな心遣い!ここは本当にドイツか(笑)
それにしても我が娘、先生の目を盗んで、自分でおかわりを注ぐ技を身に着けていようとは、侮れません。。。

そんなこんなで、恒常的に「何か食べさせろ」攻撃を娘から受けながら生活しているので、時々はどっと疲れてしまうこともありますし、A型の私としてはすぐに「幼児糖尿」の四文字が脳裏を過って考え過ぎてしまう日もありますが、、今までのところ、振り返って見ると、食欲旺盛さんは、子育てが比較的楽な気もします。乳児期は、たっぷり母乳を飲んでは、ぐっすり長時間眠ってましたし、ほとんど好き嫌いなく野菜からお肉までペロリと食べるせいか、幼稚園が始まって、毎日沢山の園児と接触しているにも関わらず、この4ヶ月、熱を出すでもなく、毎日元気に通っています。

これを私は勝手に「食い力」と呼んでいます。かつて、異常な忙しさで、上司と二人、睡眠を削って働いていたクレイジーな時期、二人で「眠らなくても食べていたら働けますよね〜」とイタイ会話をしていたのを思い出しました。これも一種の食い力でしょうか(笑)

ちなみに我が娘、幼稚園が大好きです。先生にも幼稚園ではいつもニコニコしてご機嫌なんですよと言われますし、休日でも「幼稚園行こうか?!」と誘ってきます。いろんな遊びもあるし、お友達もいるし、先生も優しいし、、、いろんな理由があると思いますが、実母としては、絶対、いろんな食事が供されておかわり可能な、「食事環境」も大きな理由の一つだと踏んでいます。

↓幼稚園の聖マルティン祭のティーパーティーにて。クッキー貰ってご満悦。