忘れる

妊娠中・産後を通して、多くの女性が経験するのが「健忘症」です。
かく言う、私も只今「物忘れ」絶好調。今までの人生で、殆ど傘なんて忘れたこともないのに、先日は、大学に傘を置き忘れて帰るし、朝起きた時に頭にあったはずの、その日の予定が昼には、すっかり抜けてたり、買い物に行って、一番買いたかったはずの物を買わずに帰ることも出てきました。

物忘れの原因は、急激に変化するホルモンバランスという説もありますし、鉄分不足という話も聞いたことがあります。特に出産の痛みの記憶を忘れることが出来るのは、次の出産への躊躇を無くすための生き物としての合理的な仕組みだとか。。。

前回の妊娠の時は、産後の方が酷かったです。用事を思いついて、椅子から立ち上がったら、既に何をするつもりだったか忘れていたりして、家族から同情のまなざしを向けられたりしていました。(出産自体の痛みに至っては、私は体格に比べて、大きな赤ちゃんだった為、難産だったのですが、産んだ瞬間に、痛みも忘れてしまっていました。)

そんな自分のコントロールできない「物忘れ」症状も、初めての時は、動揺したものでしたが、二回目ともなると、「あぁ、また始まったんだな」とのん気に向き合えるから不思議です。適当な記憶に基づく、適当な言動で、迷惑を被っている夫に対しても「妊婦だから、ごめんねー」と図々しくなっています。

ところで、出産経験のある年配の女性達の口から「妊娠は病気じゃない」と言う言葉を耳にすることが多くあります。「病気じゃないんだから、甘えるな」と言う文脈が殆どですが、第一子の妊娠・出産の時には、それを真に受けて信じてしまったので、痛い目に合いました。これ、実際の経験に基づいて発される言葉だと思ってしまうから厄介です。今、思うと、当時の辛さも状況も「すっかり忘れてしまった」女の発言だと捉える方がいいのではないかと(笑)

第一子妊娠当時、私は単身赴任状態で働いていたせいもあり、「病気じゃない」と考えることが自分に都合が良かったこともあったので、色々無茶をして、代理店の倉庫の中で気を失ってしまったこともありました。もう、本当に無自覚な、おバカさんでした。周りには「くれぐれも安静にするように」と進言する、奥様の妊娠を目にした経験がある「忘れていない」男の人たちが沢山居たのに。。。

もちろん、世の中には悪阻も無く、産む直前まで、体調も絶好調の妊婦さんも沢山いますが、頭痛・吐き気・めまい、動悸、呼吸困難、等、不定愁訴のオンパレードな妊婦さんも多い訳で、痛みを緩和する薬さえ飲めず、我慢するしかなく、心身ともに弱り気味になってしまう様な場合は、病気より、たちが悪いんじゃないかと思ったりしています。ベッドに張り付けと体が言っている時は抗わず従った方が賢明でしょう。

なので、この度は、無茶は、ほどほどに、物忘れもお気楽に流そうと考えております(笑)