Caféの思い出 その1

デュッセルドルフでの日々も残り少なくなって来たので、記録がてら、お気に入りのカフェの思い出を一つ。

Schadowarkarden横の教会「Johanneskirche」の中にある「Cafe im Foyer」。


その名の通り、教会の入り口を入ってすぐのホワイエ部分にあるカフェ。石造りの教会内にあって、木製のテーブルやイスがとてもあたたかな雰囲気を出していて居心地が良いのです。お給仕は教会のボランティアの方々のようで、敬虔なクリスチャンらしく、とても優しい接客だし、ケーキもランチも手作りで美味しいのに、破格の安さなのです(ケーキ1つ、1〜1.5ユーロ!)。そして、ケーキもランチも、コーヒーもシンプルで素敵なIttalaの白い器が使われます(そして時々、誰かがうっかりガッシャーンと割る音が聞こえますwww)。なんという太っ腹カフェ。

友人に教えてもらって行ったこのカフェは、次女が生まれるまでは長女を幼稚園に送り出した後、自習用スペースとして、時間の取れる日は通っていました。教えてくれた友人自身が、ここを自習用カフェとして使っていたので、居心地の良さだけではなく、彼女とのおしゃべりも半分目当てだった様に思います。

そんな快適なカフェのこと、常連さんにはリタイア後のおじいさん、おばあさん達にも多く、いつも4、5人で陣取って楽しそうに話に花を咲かせています。かなり通い詰めている、その友人は、こうした常連のおばあさん達とも仲良くなっていて、少し顔を出さないと心配したりして、そんな年齢も国境も越えた友人関係はとても微笑ましいものでした。

自習しながら、そっと耳を澄ませば、おじいさん、おばあさん達、政治の話やら病気の話やら、ゆるーく語り合っているのが聞こえます。そして一頻り話し終えたら帰って行きます。何やら特別な日には、許可を貰って、自分たちのテーブルだけ、お花やナプキンでコーディネートしてブチ・パーティーなども開催していて、とても可愛いお年寄りの憩いのスペースなのです。カフェの私物化(笑)運営母体が教会だから成り立つのかもしれませんが、大いに結構だと思いました。以前、日本で昼間にショッピングモールの一角にあるゲームセンターを通り過ぎた時、お年寄りばかりが黙々とゲーム機の前に座っている光景を目撃して、その殺伐とした雰囲気にショックを受けた事がありましたが、日本にも、こんな風に地域のコミュニティーに入り込んだ、老いも若きも入り混じった、素敵なスペースがあれば良いのにと思います。

ふとオルガンコンサートが始まったり、友人が日本フリークのとても若くて可愛らしいドイツ人のタンデム(お互いに日本語とドイツ語を教え合う為の会話友達)を連れて来たりと、自習スペースにしては面白いことの色々起きる場所でした。一番通っていた時期は、ちょうどアイデンティティと消費の関係について興味があり、関連本やら論文を読みあさっていた時期でした。それ故か、今や「アイデンティティ」周りの議論を思い出す時は、この教会カフェの高い窓から差す光、コーヒーの匂い、白い食器など、思わず連想してしまいます。

もう友人はデュッセルドルフを去ってしまったし、私もカウントダウンが始まりました。まだ別の日本人がひょっこり自習スペースに活用したりするのかな・・・。

Cafe Im Foyer
Martin Luther Platz 39,
40212 Düsseldorf