イクメンのある風景

このところ、とても忙しい日が続いていておりましたが、ようやく一段落。ふと気がつくと、ドイツにも春の兆しがあちこちに見られるようになりました。風はまだ凍るように冷たくはありますが、もう日差しは随分暖かです。

こちらに住むと鳥の鳴き声が良く聞こえてくるのが印象的なのですが、さすがに冬はほとんど聞くことはありませんでした。しかし、二、三日前からツグミが、ようやく戻って来たようです。その可愛らしくも、通りの良い声に、お散歩中の娘も、はっと立ち止まって、木の上の鳥に指をさしていました。


さて、春が近づいてきたからなのか、それとも寒さに弱い私が外をウロウロろするのを極力避けていたからなのかは定かではありませんが、この頃、家の周りにも『イクメン』(育メン⇒育児するパパ)達が戻って来たように感じます。(渡り鳥か?!)
日本でも『育メン』はブームだと聞いていますが、こちらでは男性の育児は当然の義務のような感じで、暮らしているようです。
近所を歩くと、午後3時くらいにも関わらず、スーツ姿の男性が一人でバギーを押して歩いてる姿も珍しくありませんし、驚いたことに、男性二人がそれぞれ一つずつバギーを押しながらジョギングする姿も見かけます。いわゆるパパ友ってやつでしょうか。

近所に住むワーキングマザーである友人も私に「病院に行ったりして、子供を預ける必要があれば、遠慮なく“うちの夫”に言ってね。彼、慣れてるから!」と申し出てくれます。さすがに預けたことはないですが(笑)

ちなみに我が家のジャパニーズ育メンは、この週末、私がどうしても家で済ませなくてはならない用事があった際に、娘を連れて二人で水族館に行ってきてくれました。結構、感動。


ところで、育メンと言えば、ドイツにはすごい人がいらっしゃいます。ドイツ初の移民系大臣に昨年11月任命された、保健相のフィリップ・レスラー氏。時折、テレビや雑誌で見かけるのですが、経歴を聞いてびっくり。ベトナム出身で、実の両親はベトナムの戦闘で死亡し、出生名は不明。生後まもなく、孤児院から養子として、ドイツ人家庭にやってきたそうです。しかも4歳からは、養父母の離婚の為、連邦軍パイロットである養父に引き取られ、兵舎で兵士に囲まれながら成長し、異例のスピードで医師から大臣になったそうです。
ドイツは取り立てて外国人に優しい国ではありません。このコテコテの保守の国で、そんなポジションを得た彼も、運と才能と強靭な精神を持ち合わせた、只ならぬ人物ではありますが、私は、彼を男手一つで、パイロットをしながら育て上げた養父も、すごい方だなぁと思います。「スーパー育メン」と言えますよね。