成績をつけない大学

9月に入って、大学がボチボチ始まりました。「大学と大学院の違い」や「日本の大学とドイツの大学の違い」を面白いなーと感じる日々です。

同じ専攻での今年度入学者は8名で、そのうち今まで出会ったのは6名。イギリス、オランダと言った欧州勢はもちろんのこと、イスラエルやブラジルや韓国から来た人もいて、インターナショナルな顔ぶれです。「きっとまた会おうねー」と面接試験の時に言って別れたオランダ人デザイナーの女性も合格していて、再会を喜びました。学生のバックグラウンドも多様で、私自身は学部時代にデザインを専攻していないことを引け目に思っていましたが、私と同様に仕事に就いてからデザインと関わった人も居て安心しました。一学年上にはスタンフォード大で化学を専攻した直後に入学して来た人もいるようで、それなら自分なんて、まだ関連性がある方だわ、と思ったりもしました。

そもそも14名の受け入れ枠があったそうなのですが、「去年の反省から今年は8人に絞りました」と初めてのミーティングで学部長が言っておられました。私の通う大学院には二つ専攻があって、もう一つの「Master of European Design」という専攻に至っては、受け入れ枠4名のところ、今年の合格者は1名!!「博士過程でもないのに、同じ専攻に自分以外誰もいないのって、本人にとっては結構ショックじゃないかなぁ」と、他人事ながら、心配になりました。そんな事情ですので、その学生は私達のミーティーングにも今後一緒に出ることになっているそうです。

この同じ専攻の学生達にはWORK PLACEと言う専用の大部屋が、いわゆる研究室として与えられて、そこに日々出入りしながら、お互いのプロジェクトについて話し合ったり、一緒に共同プロジェクトを進めて行ったりするそうです。私の日本で見た10年以上前の大学院生の生活と違う点は、各自あてがわれた専用の机に一台ずつPCが置かれ、共同のテーブルはモバイル用PCの使用が前提となっている点でしょうか。10年ひと昔ですね。学生間同士の情報交換もFacebookを通じて行われているし、本当に環境は変わりました。これから10年経ったら、更に学生生活も進化を遂げているんでしょうか。

ところで、大学が始まって、「これは良い!」と思ったことの一つは、この大学は大学院生はもとより学部生に至るまで、「授業科目に成績をつけない」主義を取っていることです。大学で学んだ結果は個々の授業のアウトプットをまとめたポートフォリオと呼ばれる作品集と卒業論文により、最後に判断されます。これは学校側が学生にリスクを取ることを恐れないでチャレンジをしながら勉強をして欲しいという思いから来ていると説明がありました。個々の授業で無難に良い成績を取リ続けて卒業するよりも、もっとダイナミックにチャレンジして、それをベースに最終的な到達点(卒業論文)が素晴らしものになればいいと言う考え方です。学校でも会社でも「リスクをとって良いから、思いっきり自由におやんなさい」と言われると、嬉しいものですし、モチベーションも上がります。良い制度だなと思いました。

私も子育てにおいては「失敗を恐れず、思いっきりおやんなさい!」と娘に言える太っ腹な母親になりたいなと思っているのですが、何様、細かいA型なもので、つい、「あれしちゃだめ」「これしちゃだめ」と口を挟んでしまって反省の日々です。

来週はBoot Camp(英語で新しく入隊した兵士への集中教育訓練プログラムの意)と名付けられた4日間の集中プログラムが始まります。Boot Campというと、一時期、流行った「Billy's Boot Camp」をつい連想してしまいますが、どうなることやら、ちょっと楽しみです。