撃沈 Colloquium


先週からドイツでは色んなところでクリスマス・マーケットが始まり、街がきらきら華やかに浮足立ってきました。

11月始めのSt.Martin祭に引き続き、娘の幼稚園でも、クリスマスの飾りつけが始まりました。去年よりは話が通じるようになってきた娘に試しに「良い子にしていたら、ニコラウスがお菓子を持ってきてくれるよ」と声を掛けています。まだ2歳半だし、ダメもとで言ってみたのですが、驚いたことに、効果ありです!いつもは道端で「抱っこ〜」と言いだすと、歩かせることは、ほぼ不可能なのですが、今日は「ニコラウスが見てるよ。良い子にしていようね」と言うと、魔法の様にすんなり歩き出しました。。。。ふふふ、これは使えます!(いつまで持つかは不明ですが)

そんな大人も子供もウキウキの季節。先週の木曜日を最後に私も年末に向けて、しっかり浮足立つ予定だったのですが、世の中、そんなに甘くないようです。先週の木曜日は以前書いた学術討論会「Colloquium(コロキウム)」で自分のプロジェクトの発表を行いました。

私の通っている大学院では出願の時に最初の一年間に自分で行いたい研究について綿密な研究計画書を提出することになっています。入学後は、興味のある授業をとりつつも、その自分の提案した研究を担当教官二人に見てもらいながら進めて行くのが主要な内容です。

入学審査に研究計画書も含まれているので、合格した以上、基本的にその計画書の内容は大筋でOKということなのかと思っていた私ですが、これが・・・・叩かれる、叩かれる・・・・。私の場合、自分の携わって来た仕事の領域に関する内容なのですが、最初から、あまりにプラグマティックなので、そこへの批判続出です。

「State of the art(最新)の事柄は、もう世界のどこかで誰かがやってるのよ。もっとコンセプトを広げて、更に先のFuture(未来)を考えなさい。」

「Mindset(考え方)を変えなさい)」

「もっとリスクを取りなさい」

ドイツのアカデミズムの世界はどこもこんな感じなのでしょうか。かなり容赦ありません。色々言われて、ここ何週間も、私なりに考えて、先週のColloquiumで新しいテーマを発表したのですが、それでも「まだState of the artから抜けていない!」とGoサインを貰うことが出来ませんでした。。。。ここでGoサインを貰って、後はコツコツ研究を進めていく予定だったのですが、(おまけに年末の楽しい予定をいろいろ入れてました)未だ混沌の中にいます。トホホ・・・・。

今の大学は私が今まで生きてきた世界と、ゲームのルールが本当に違うので、そんな中、方向性が確定しないのは、本当に困ったものなのですが、本当を言うと、教授や友達と話したり授業を聞いたりする中で、何となく、こうなんじゃないかと思うようになったことがあります。

「抽象的なものは強い」

ビジネス・コンセプトやメソッドは、すぐに色あせてしまうし、応用が利かないけど、もっと抽象的な発見はすぐには色あせないし、応用が利くのではないかと。。。。その意味で、学部時代にはもっと哲学などを学ぶべきだったと、今更ながらに後悔しています。(だって周りのクラスメートは哲学やら美学やら詳しいんだもん!(涙))

私の指導教官の一人は女性で、ぶっとんだ外観で、ぶっとんだ授業をし、ぶっとんだ叱咤激励をしてくれますが、ちゃんとドイツの自動車メーカーと産学共同でプロジェクトを行ったり、ビジネスの中でもやっていけているのを見ると、きっと抽象的なものには何かあるんだろうなぁと思うのでした。だから、彼女の指摘は良く分かるのですが、そこに私らしい方向性を出そうとすると何だかおかしくなって来ちゃうんだなー。。。

Colloquium撃沈の翌日は、さすがに脱力してしまい、家の中でふにゃふにゃしてましたが、午後から駐妻友達に会って癒され、更に彼女が貸してくれた日本の雑誌に癒され、少しずつ、また元気を取り戻しました。

まだ始まったばかりですもんね。迷走しながら何か見えたらいいな。