久しぶりに復帰

先週は出産後、初めて大学院に行って、短期プロジェクトに参加してきました。本格復帰前の慣らしのようなもので、あまりハードなものではありませんが、久々に右脳さん全開の世界に触れることになりました。

ここしばらくはずっと子供と一緒。誰かと会うにしてもママ友ばかりという生活でしたので、始まる前は少々緊張しておりましたが、私が参加するなら、、、と同じ修士の仲間が二人程、参加してくれて、なんとなく保護者付きの様な初社会復帰となりました。って、その「保護者」達は皆、年下なんですけど(笑)

ところで、うちの大学は「ケルン・メソッド」と言う独特の教育法を採用しておりまして、個別に行う修士論文やそれに関連する個人の課題などは別として、通常のプロジェクトなどは基本的にチームで行います。デザイナーの仕事は社会に出れば圧倒的にチームで行うことが多く、その為、チーム・ワークの中で最大限の効果を引き出す訓練をするべきだと言うのが根底にある考え方です。私自身、社会人として働き、いろんなクリエイティブを制作する立場にありましたが、この考えは確かに正しいと言えます。チームとしてのアウトプットを最高にしていくことができなければ、デザイナーの力は発揮できないに等しいのです。
でも、実際に右脳全開の若者達と一緒にプロジェクトを行うのは結構大変です(笑)

今回はデザイン理論についてのプロジェクトで、テーマは「Design by mistake」。とても抽象的です。つまり・・・暴走しやすいテーマです。私は自分なりにアイデアを持って臨み、みんなでブレインストーミングする中で似たような考えの人とチームを組もうと思っていたのですが、気がつけば・・・・修士仲間とチームを組んでいました。「そうだよねー、全く、僕も同じ考えだよ!」とノリ乗りで話す友人達は、確かに領域的には同じところに着目しているのですが、やろうとしていることは真逆の方向の様な・・・・。5日間で展示作品を発表するに至まで完成させなくてはならないので、私としては不安の出だしでした。

チーム・メート二人の内、一人はエジプト人。元々、建築家でしたが、更に自由な領域を求めて、デザイン領域にやってきました。初めて会った時から、言っている事とやっている事の30パーセント位が私にはどうしても理解できませんww。もう一人は韓国人。名門ソウル大学で美学を専攻したフィロソファーです。穏やかで同じアジア的価値観を共有していて、当初、私と同じ希少な左脳さんだと期待したのですが、しばらく会わない間にすっかり向こう側の人になっておりました。それにメーカー社員の私。なんという頓珍漢な顔ぶれでしょう。

暴走中の楽しそうな二人。


しかし、暴走はしてみるものです。思っても無い事がポロポロと出てきて、私が当初考えていた結果とは違うものになりました。わずか5日間でしたので、やれることは限られていましたが、いろいろと面白い収穫のある5日間でした。仕事をしていると、常に納期とそれに見合う落としどころを意識して取り組みがちですが、それだと結果も予定調和的で、誰でもやれることしかできませんよね。誰かをわくわくさせて魅了したり、他社のやっていないイノベーションを起こしたり、、、、そんな中で企業のブランドというものが確立されていくのだとしたら、「暴走」を許容する度量が企業にも必要ですね。実際は暴走しにくい環境ばかり揃ってきてはいますが。

Design muss Missverständnisse, Missbrauch und Fehler der Menschen als Quelle der Innovation und zur Verbesserung kultureller Vielfalt anerkennen.(Aus: Erste Deklaration des St. Moritz Design Summit, 2002)

なつかしの修士部屋に戻って来れました。まだ自分の席があってよかった。。。