ベルリン

欧州子連れ旅第一弾として、まず試験的に(?!)、ベルリンに行ってきました。

ドイツは結構、いろいろ行ったけど、フランクフルトやデュッセルドルフからは少し距離があるため、縁が無かったベルリン。子連れ旅行のペースを掴みつつ、初ベルリンは、まずお舟に乗って水上から町をぐるっと巡った後、ガイドブックが「Nicht verpassen!(見逃すな)」マークを付けている、お決まりのコースを歩きました。

ブランデンブルク門

冷戦時代は数メートル先で封鎖されていた門も今では観光スポット。門のすぐそばに「一番良いところ押さえたぞ!」的にアメリカ大使館がありました。そこから続く大通り「Unter den Linden」はフランスで言えば、シャンゼリゼ通りの様なものなのでしょうが、そんな華やかさはなく、質実剛健な感じ。ベルリンに限らず、旧東独地域は道や建物が、古くはあっても、どーんと壮大な感じがします。


■国会議事堂■

「開かれた、透明性のある政治」を目指してか、誰でも自由に入れて、ガラス張りの国会議事堂は、まさにOpen & transparent!?人気の観光スポットで、入口にはうんざりするような長蛇の列。。。。最後尾に並んだところで、「諦めようか。。。」と話し始めたところ、職員のお兄さんが「ベビーカーをお持ちなら、特別ルートをご案内します」と、優先通路まで案内してくれた。お陰で、炎天下に列に並ぶこともなく楽々の見学でした。娘がゴールデンチャイルドに見えました(笑)
ちなみに、ドイツ連邦議会は1999年にボンからここに移転してきたそうです。ドイツ統一から20年経過しましたが、首都としてフルに機能し始めてからは、そんなに時間は経っていないようですね。
ドイツの連邦議会と言うとベルリンの壁の崩壊時、「東ベルリンから沢山の人が国境を越えてきている」との第一報を受けた議員たちが会議中にも関わらず、立ち上がって国家を歌い始めるシーンを思い出します。まるで映画の一シーンのようです。

■Hackesche Höfe■

Hofとは中庭もしくは中庭付の建物のこと。ここはなんと8つもの中庭を有する建物で、旧東独時代は官舎だったとか?(夫がドイツ語のガイドブックを見て話していたので、真偽のほどは確かではありません)
今では各部屋に雑貨などのお店が入り、ベルリンの「同潤会アパート」と言った感じ。アートと言えばアートな感じですが、正直、「けったいな」ものも多かったです。

ベルリンに飛行機で降り立つ際に感じたのですが、その他の都市(フランクフルトやミュンヘン等)と違って、小さな中庭をぐるりと囲んだ、この様なタイプの建築物がやたらと多い気がしました。大都市故の工夫でしょうか。

アレキサンダー広場■

ベルリンの壁が崩壊する前には100万人規模のデモが行われた場所ですが、今では大道芸人がパフォーマンスしていたり、屋台が出ていたりしています。そんな中、東ベルリン時代の「世界時計」が現役で残されていました。
東アジア地区は・・・・「平壌、東京、ソウル」の順に都市名が書かれています。
平壌が一番上なのはやはり、イデオロギー上の同志だから?次に地理的に近いのに、ソウルじゃなくて東京が来るのは、同志への配慮????・・・なんていろいろ勘ぐってしまいます(笑)今は昔。


■チェックポイント・チャーリー■

冷戦下に置かれていた東西ベルリンを分ける検問所。ドイツ統一20年を記念してか、付近に広大なパネル展示があり、第二次世界大戦から冷戦の終結に至るまで、ドイツ分断の歴史が説明してあり、見応えがありました。
この検問所から少し歩くとStadtmitteと言う地下鉄の駅がありましたが、ここはベルリンの分断後、長きに渡って、そのままの形で閉鎖されていた駅だそうです。壁の崩壊後、封鎖を解いて、そのまま利用したとのこと。地下鉄もきちんと通った一つの町が、分断されることの理不尽さ。今ではベルリンの観光名所になっている、この検問所も壁の跡も、21年ほど前までは、命をかけて越えようとした人達が沢山いたんですよね。

ポツダム広場■


言わずと知れたソニーセンターはここ。有名な壁のモニュメントもありました。レストランや映画館などが入る複合商業施設は、資本主義どっぷりの世界。ソニーが既に手放したセンターは韓国の年金基金が購入したとか?世の中はどんどん移り変わります。

ユダヤ博物館■
欧州最大規模のユダヤ博物館で、約2000年のユダヤ人文化の歴史(特に欧州やドイツでの)が紹介されていました。建物自体も鈍い鉛色の斬新な建築物で、強いメッセージ性を感じるデザインです。内部も同様に、まず最初に通される場所は、グレーな空間を複数の通路が斜めに走り異様な感じを受けます。これは引き裂かれたダビデの星をイメージしているそうです。
正直、ベビーカーと回るにはややこしくて困る建物ですが、内容の充実度はかなりのものです。ホロコーストだけを切り取ったミュージアムには(DCにあるやつ)、行ったことがありますが、個人的には、こちらを先に見た方が、理解に奥行きが出る気がしました。特に日本人には。
2000年の歴史をしっかり見せる、これだけの規模のユダヤ博物館がドイツのベルリンにあることの意義は大きいと思いました。



と、ここまで見たところで、時間切れ。本当はもっと見てみたいところが色々あったのですが、これが子連れ2泊3日の限界でした。

パリやロンドンが一都市だけが突出して政治・交通・商業・文化の中心となっているのと違い、ドイツは各役割が都市毎に分散しているので、ベルリンは、その他の欧州の首都よりはゆったりした印象の都市でした。あえて言うなら、ワシントンD.C.に似ているような感じでしょうか。
この街を歩くと、東西分断の名残があちこちに見受けられるので(敢えて、残しているのでしょうが)、デュッセルドルフのような牧歌的な街に暮らしていると、全く忘れてしまっているようなことも思い出します。この20年、ドイツは国内には早急な東西統一後の後遺症を抱えながらも、対外的にはEU形成のリーダーシップ役を担うという、大仕事をしてきたんですよね。これはかなりパワーのいることだったと改めて思います。


さて、子連れ旅の方はと言えば、予想以上にいたって順調で、飛行機でもレストランでも、比較的大人しくしてくれ、きちんと食べてくれたので、安心でした。おまけに今回はホテルのベビーシッターさんに預けて、子連れでは行きにくいレストランにも夫婦で行ってみましたが、これも問題なし。
「案ずるより産むが易し」、少し子連れ旅にも自信がつきました。こうやって少しずつ小さなノウハウを覚え、「親」家業に慣れていくものなのでしょうか。
ちなみに今回の旅で娘が覚えた新単語は「バス」。ベルリン市内をどんどん行き交う観光バスを見ながら、乗用車とバスの違いが分かったようです。